しゅばいん・げはぷと

こんにちは……(全てネタバレ)

『ワイルド・ストーム』

『ワイルド・ストーム』を見た。ほっこりした。
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ここまで何もない映画というのも最近は珍しい。ラストの見せ場がマッドマックスから美学を抜いたようなあれだったのはただただ愉快(事前に予想できていてもよそさそうなのに、私は全く予想だにしていなかった!ので、気づいたときには笑っていた。ただ、もうちょっと色々見せてくれたらとは思ったが)。その他の場面でもしばしば他の観客の方々から笑いがもれていて、中々いい雰囲気だった。

あえて特筆すべき点をあげるなら(ということは、本当はそんなものはなかったということだが)、主人公の兄弟二人のキャラクター造形だろう。特に兄貴だが、彼らの締まりのない、全然かっこよくない、幼くて知性の全く感じられない、しかし全然悪気のない感じの会話は(皮肉ではなく)新鮮であり、可愛げさえあった。とにかく主人公感が全くなかったのが今も深く印象に残っている。思い返してみると、小市民にさえなりそこね、しかもなりそこねたことにすら気づいていない、ゆえにルサンチンさえも持っていないのでそこそこ善良な、凡庸中の凡庸な人間(現実に結構いると思います)にスポットライトを当てた作品とも言えなくもない。よく、普通は主人公にならないような人物が主人公である物語はそのことで褒められるが、だとすれば、本作『ワイルド・ストーム』は称賛に値するだろう。意図されたものではなかったと思うが(というのも、一応彼らは小市民ではあるという設定ではあったから)、特に後半の兄弟の掛け合いの凡庸中の凡庸さとしかいいようのない感じは、ちょっと見たことがなかった。