しゅばいん・げはぷと

こんにちは……(全てネタバレ)

『ファースト・マン』

デイミアン・チャゼル監督の『ファースト・マン』を堪能した。
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世界の外を目指す男の話なのに、その彼こそがもう決定的に世界の外などないと観念していて、にもかかわらず月に行くのだがやはりそこもまた世界のうちに過ぎなかったと確認する、そんな物語だと私は解釈した。

詳しくは宮台真司の最高傑作『サイファ 覚醒せよ!』を読めばいいと思うのだが、世界に外側はない。ありとしあるものすべてという風に定義される世界に外側はない。というのも、世界の外側が「ある」としたら、それもまた世界の内側になってしまうからである(こういう類のわけわからなさに驚け、というのが『サイファ』のキモである)。

さて、当たり前の話だが、月は地球の外ではあっても、世界のうちに過ぎないのだった。ニールは最初からそのことを知っていたように思う。しかし、それでも月を世界の外と見立てて、いまや(世界に)亡き娘との本当のお別れの場にしなければならなかったのだろうと思う。

ラ・ラ・ランド』もとてもよかったが、デイミアン・チャゼル監督、今作での円熟味は、ちょっとすごいと思う。

 

サイファ覚醒せよ!―世界の新解読バイブル (ちくま文庫)

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