しゅばいん・げはぷと

こんにちは……(全てネタバレ)

『クリード 炎の宿敵』

クリード 炎の宿敵』(『クリード2』)を見た。泣き濡れてしまった。
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しかしまぁ、欠点から言うと、前作から感じていたことだが、ロッキー(シリーズ)にはあったストーリー・テリングのタイトさとシンプルさは失われ、冗長に感じた部分もあるにはあった。しかし、その印象もまたときに来るエモーションの爆発で掻き消されるのだが。ともあれ、いわゆる「完璧な」作品ではないことはまず言っておかなければならない。

にもかかわらず、である。にもかかわず、本作がサイコーの一本であることに疑う余地はない。ロッキー4と関連付けてもなお真面目な雰囲気の映画を成立させ得たことが、まずは驚きであった。途中のトレーニングシーンは前作より盛り上がったように感じたし、最後の試合の勝敗における「ひねり」が物語的にとても大きな効果を持っていて、意外なだけでなく感動的だったのには唸らされた。「たとえ負けても、そのことが目に入らないぐらい大事なことがあるだろ!」といういつものテーマが、予想外(少なくとも私にとってはそうであった)の形でスクリーンに映し出されたのである。

確かにロッキー4の直系だと思える場面もなきにしはあらずで、トレーニング・シーンの(いい意味での)馬鹿さ加減はとてもいい。

その一方で、奥さんの難聴が子どもにも遺伝してしまうという人生の厳しさ・苦さも描かれていて、ロッキーシリーズらしい。(ただし、私はほとんど反出生主義者なので、これは映画なのだということを度外視にして「子どもに障害が遺伝するかもしれないのに子どもを作り産んだ」ことを考えると複雑な気分だが、今はそのことを書いて感動に水をさしたくない。ちなみに、それに少し関連していることを前にロッキーと絡めて書いたことがある→『ロッキー ザ・ファイナル』に違和感(など覚えたくないが……) - しゅばいん・げはぷと

キャラクターの魅力は言うに及ばず。ロッキーとクリードの仲直り場面の爽やかさと自然さは、あぁ、お前らホントいいやつだな! と思わざるを得なかった。この映画のベストシーンかもしれない。

とにかく、ロッキーは最高ということに尽きる。個人的には、ロッキー4よりもロッキー・ザ・ファイナルを予習しておくことを勧める。